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不動産投資の固定資産税はいくらかかる?計算方法を理解しよう
更新日 2022年10月31日
不動産投資を行う上で大切なのは、必要な「経費」を把握することです。
中でもしっかりと理解しておきたいのが「固定資産税」について。
不動産投資の収支計画を立てるにあたり、細かくシミュレーションしておかなければならない重要な経費の1つといえるでしょう。
今回は固定資産税の仕組みや計算方法、さらに軽減措置について解説していきます。
- 不動産の「固定資産税」について知りたい
- 不動産投資の「固定資産税」計算法っ法を知りたい
固定資産税とは何?
固定資産税とは「固定資産」に対して課せられる税金(地方税)です。
固定資産とは、土地や家屋、償却資産を総称したものであり、詳しくは以下のものを指します。
【土地】田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
【家屋】住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
【償却資産】構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産。
ただし、自動車税種別割、軽自動車税種別割の課税対象となるものは除く。
(東京都主税局HPより)
固定資産税は誰がいつ支払う税金?
固定資産税を納める義務があるのは「1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方」と定められています。
例えば、2021年6月に不動産を購入した場合、その年の納税義務者は2021年1月1日時点での所有者であり、支払うのは前の持ち主ということになります。
これでは不公平が生じるため、実際は決済日を基準に日割り計算を行い、前の持ち主と購入者との間で清算することになります。
固定資産税は、所有する固定資産の課税標準額に標準税率をかけて、以下のように算出されます。
・固定資産税の税額=課税標準額(固定資産税評価額)×標準税率(1.4%)
課税標準額(固定資産税評価額)は、土地の公的価格や家屋の時価額をもとに各自治体(都や各市区町村)が算定する固定資産税の基準となる価格のことです。
この額は、3年に1度の間隔で評価替えが行われています。
また、標準税率は多くの地域で1.4%が採用されていますが、自治体によっては異なる場合もあります。
都市開発を行っている区域の不動産を保有している場合には「都市計画税」が課されることもあります。
都市計画税の標準税率は0.3%が最大税率となり、多くの地域で0.3%が採用されています。
・都市計画税の税額=課税標準額(固定資産税評価額)×標準税率(0.3%)
支払い方法は?
固定資産税は所得税とは違い、申告する必要はありません。
一般的には、年4回に分けて市町村から納税通知書が送られてくるので、記載されている納付期限内に支払いましょう。
支払い方法は自治体によっても違いがありますが、代表的な方法を紹介します。
1.金融機関や各自治体の窓口、コンビニエンスストアでの現金払い
各金融機関や自治体の窓口、コンビニエンスストアに納付書を持って行き、現金で支払うことができます。
最も一般的な方法で、手数料がかからず、領収証書をすぐに受け取ることができる方法です。
ただし、コンビニエンスストアでの支払いは納付書1枚あたり30万円までとなっているので、注意が必要です。
2.口座振替
納付書とともに送られてくる書面から、口座振替の手続きをすることができます。
支払い忘れも回避でき、確実で安心な方法といえるでしょう。
3.ペイジーでの支払い
ペイジーマークが付いた納付書であれば、パソコンやスマートフォン、インターネットバンキングなどを通じてペイジー支払いを利用することができます。
また、ペイジー対応が可能なATMから支払うこともできます。
4.インターネット経由でのクレジットカード払い
すべての自治体ではありませんが、各自治体の専用サイトや「Yahoo!公金支払い」を利用して、クレジットカードによる支払いができます。
取扱い可能なカード会社が限定されている、自治体によっては納められる税額の上限がある、決済手数料がかかるなど注意点もありますが、ポイントが付与されるというメリットもあります。
5.電子マネー・キャッシュレス決済払い
nanaco、WAONなどの電子マネー、PayPayやLINE Payなどのスマホ決済サービス(東京23区内のみ)を利用して支払いすることができます。
チャージや決済の際に、ポイントが付与されるため、お得に税金を納付することも可能です。
固定資産税の平均額の基準
投資初心者の方が気になるのは「固定資産税が1年間で、どれくらいかかるのか」ではないでしょうか。
公に発表されている平均額はありませんが、住宅を所有している方の固定資産税は戸建てで10~15万円、マンションで8~12万円程度が多く、新築の物件の方がより高くなる傾向があります。
税額は主に、下記の4つの要素によって変動します。
1.個人の保有資産
2.家の構造と広さ
3.各市町村の税率
4.地価の変動
個人の保有資産
固定資産税は、個人が保有している「固定資産」の数や内容によって税額が変わります。
住宅や土地以外にも、償却資産である飛行機やヘリコプター、ボートなどの乗り物、舗装路面(駐車場、構内舗装)、門や塀などの構築物、太陽光発電設備などの機械及び装置も課税対象です。
家の構造と広さ
住宅に課せられる固定資産税は、家の構造・広さによって税額が変わります。
固定資産税は「課税標準額×1.4%」で計算できますが、課税標準額のもとになる「固定資産評価基準」は、建物の構造や設備の仕様、建材の種類などを加味して調整されます。
家の構造や設備が高価になるほど、固定資産税評価基準は上がり、経年劣化の少ない建材を使うと、固定資産税はより下がりにくくなります。
各市町村の税率
固定資産税の標準税率は、全国一律ではありません。
各自治体によっては1.4%ではなく、1.5%と高めの税率を採用している場合も。
自分が購入しようとしている不動産がどこの自治体にあるものなのか、その自治体が採用している税率が何%なのか、確認しておく必要があります。
また、都市計画税も同じく地域差があるため、そもそも都市計画税が必要な地域なのかも含めて、確認しておきましょう。
地価の変動
固定資産税をシミュレーションするにあたって、注意すべきなのは所有する土地に課せられる税金です。
土地は経年劣化しないため、地価の変動によって評価額が変わります。
土地の値段が上がる(下がる)ことで、固定資産税は高くなる(安くなる)ことを覚えておきましょう。
固定資産税の計算方法
固定資産税額は
「課税標準額(固定資産税評価額)×標準税率(1.4%)」
で算出できますが、ここで注意が必要なのは、建物と土地で固定資産税評価額の考え方が異なるという点に注意が必要です。
ここでは、それぞれの固定資産税のおおまかな計算方法を確認していきます。
建物の固定資産税
建物の固定資産税は、以下のように算出されます。
・建物の固定資産税=建物の評価額×税率(標準税率1.4%)
建物の評価額は、家の構造や広さ、設備や経年劣化によって影響を受けるため、以下のように非常に複雑な計算方法になっています。
・建物の評価額=評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率
※「評点1点あたりの価額」とは設備によって変わる価格
※「再建築費評点」とはその建物をもう一度建築した際にかかる費用
自分で細かい計算をするのはかなり難しいため、購入価額の70%を建物の評価額として概算する方法もあります。
土地の固定資産税
土地の固定資産税は、以下のように算出されます。
・土地の固定資産税=土地の評価額×税率(標準税率1.4%)
土地の評価額は、路線価によって求められます。
・土地の評価額=土地の面積×路線価
路線価とは、土地が面している路線の価値のことで、国税庁のホームページから路線価図を確認することができます。
不動産投資における固定資産税
不動産投資において、毎年納める必要がある固定資産税は収益に直結する重要な経費です。
投資した物件が都市部にある場合には固定資産税(1.4%)の他に都市計画税(0.3%)がかかるため、課税標準額の1.7%の税金が課せられます。
では、固定資産税や都市計画税をできるだけ抑えるには、どのような投資物件を選ぶといいのでしょうか。
ここでは、中古物件と新築物件、一戸建てとマンションの固定資産税の違いについて解説していきます。
新築と中古物件では税額が異なる?
新築物件も中古物件も、「土地」に対する固定資産税は同じです。
しかし、「建物」に対する固定資産税評価額は3年ごとに見直し(評価替え)が行われます。
つまり、築年数が経過すると、経年劣化などにより建物の価値が下がり、固定資産税評価額も下がっていくことになります。
このことから、新築物件に比べて中古物件の方が、固定資産税が安くなるといえます。
しかし新築物件には、のちほど紹介する固定資産税の軽減措置があるので、物件の条件に応じて考慮する必要があるでしょう。
一戸建てとマンションでは税額が異なる?
一戸建てとマンションとでは、土地に対する税額に大きな違いがあります。
一戸建ての場合は土地全体に対して課税されるのに対して、マンションの場合は土地の敷地面積を戸数で割って所有区分とするため、土地の固定資産税はマンションの方が抑えられることが多いでしょう。
建物については「減価償却期間」に差があります。
鉄筋コンクリートのマンションは新築時から47年、木造一戸建て住宅は新築時から22年と定められていて、その期間をかけて価値が目減りしていきます。
つまり、マンションは年数が経過しても固定資産税があまり下がらず、高い状態が続くといえるでしょう。
また、こちらも新築物件に関しては軽減措置があり、一戸建てとマンションでは軽減される期間に差があるので、投資を検討する際には細かく試算する必要があります。
固定資産税が軽くなる軽減措置がある
固定資産税には、さまざまな軽減措置があります。
軽減措置を受けるために、特別な申請の必要はありませんが、基本的な条件を把握しておくことは大切です。
軽減措置の条件を踏まえた物件選びをすることで、固定資産税を抑えることができるでしょう。
ここでは、固定資産税がかからない免税点と住宅用地における軽減措置、新築住宅における軽減措置について解説します。
固定資産税が課税されない免税点
固定資産税には、課税標準額がある一定の金額を満たしていない場合に課税されないという「免税点」があります。
固定資産税の免税点は以下のとおりです。
土地:30万未満
建物:20万円未満
償却資産:150万円未満
上記の場合、固定資産税は非課税となります。
ただし、同一人物が同じ市区町村内に複数の不動産を所有していて、課税標準額の合計が免税点を超える場合はそれぞれの不動産に課税されるので注意が必要です。
小規模住宅用地には特例がある
土地の中でも、人が居住するために利用されている土地(住宅用地)には固定資産税が軽減される特例措置があります。
住宅が建っている土地の面積が200㎡以下なら「小規模住宅用地」、200㎡を超えた部分は「一般住宅用地」となり、それぞれ以下のように課税標準額が軽減されます。
・小規模住宅用地:課税標準額が1/6になる
・一般住宅用地:課税標準額が1/3になる
例えば、課税標準額3,000万円の「小規模住宅用地」の場合、土地の固定資産税は以下で算出できます。
・土地の固定資産税=課税標準額×1/6×標準税率(1.4%)=3,000万円×1/6×1.4%=7万円
新築住宅にかかる減額措置
新築住宅は下記の条件を満たす場合、軽減措置が受けられます。
・2022(令和4)年3月31日までに新築された住宅である
・住宅の場合、居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
・共同住宅の場合、区画された居住部分の床面積に、廊下や階段などの共有部分の床面積を案分した面積を加えたものが50㎡以上280㎡以下
※貸家物件の場合は一戸につき40㎡以上280㎡以下
条件を満たすことで税額が1/2に減額され、一般住宅の一戸建ては3年間、マンションでは5年間適用されます。
また、認定長期優良住宅の場合は適用年数が延長され、一戸建ては5年間、マンションでは7年間適用されます。
例えば、軽減措置の条件を満たした課税標準額2,000万円の一戸建て新築住宅の場合、建物の固定資産税は以下のように算出できます。
建物の固定資産税(3年間)=課税標準額×1/2×1.4%=2,000万円×1/2×1.4%=14万円
まとめ|毎年支払う固定資産税を把握する
不動産を所有するかぎり、「固定資産税」は毎年かかる経費になります。
不動産投資を行う上では、持っている資産をしっかりと確認し、毎年支払う固定資産税を把握しておくことが大切です。
自治体によってはクレジットカードや電子マネーが使えるなど、支払い方法の選択肢も増えています。
手軽さやポイントを貯めるなど、自分の生活にあった支払い方を選ぶこともできます。
また、固定資産税にはさまざまな軽減措置があり、条件にあった物件を選ぶことで節税することも可能です。
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