トランプ関税が世界経済に与える影響とは? | 利回り不動産《RIMAWARIBLOG》

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トランプ関税が世界経済に与える影響とは?

2025/04/07

更新日 2025年4月7日

とうしろう
2025年4月、再選を果たしたトランプ大統領が打ち出した新たな関税政策、いわゆる「トランプ関税」が、世界経済に大きな波紋を広げています。この記事では、トランプ関税の内容やその背景、業界別の影響、日本の不動産市場との関係についてわかりやすく解説します。(※4月7日時点)

そもそも関税とは何か?

関税とは、海外から輸入される商品に対して政府が課す税金です。この税によって輸入品の価格が高くなり、結果として国内産業が保護される仕組みです。特に自国の製造業や農業などを守る手段として活用されます。トランプ政権は、関税を自国経済の強化と国際交渉の手段として積極的に使っています。

トランプ関税の概要と背景

2025年4月に発表された政策の主な内容は以下の通りです。

  • すべての輸入品に一律10%の関税を追加(ベースライン関税)
  • 貿易相手国に応じて個別の関税率を導入(相互関税)
  • →中国に34%、日本に24%、ベトナムには46%などの関税を課す

  • 例外扱い:USMCA(アメリカ、メキシコ、カナダの自由貿易協定)に含まれる品目に関税を課さない特例措置は継続
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    この政策の背景には、「アメリカ第一主義(America First)」のもと、国内製造業の復活や貿易赤字の是正などが挙げられます。

    関税が金融市場に与えたインパクト

    関税発表後、世界の株式市場は大きな混乱に見舞われました。

    • 米国市場:4日には、ダウ平均が前日より2200ドル以上の下落。さらにS&P500企業の時価総額は、4月3日と4日わずか2日間で5兆ドル以上の価値を失い、2日間としては過去最大の下落幅を記録しました。
    • 日本市場:4日に日経平均株価は一時2900円以上下落し、取引時間中としては過去3番目の下落幅となります。為替市場では円高が進行し、一時1ドル=145円台をつけました。
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      これらの急激な市場変動の背景には、関税が企業経営と投資家心理の両方に与えるインパクトがあります。

      まず、関税によって企業の輸入コストが上昇すると、利益率が悪化します。企業がそのコストを消費者に転嫁すれば、製品価格が上がり、消費者需要が減退する可能性もあります。結果として売上の減少や企業収益の悪化が懸念されるのです。

      さらに、仮に報復関税を発動する国が出現すると、企業が予定していたグローバル展開の戦略にも支障が出る懸念があります。これにより将来の成長見通しが曇り、投資家はリスク回避の姿勢を強めて株式を売却する動きも出てきます。

      加えて、急激な株式市場変動は、大規模なプログラム売買や投資ファンドによる一斉売却の動きを助長します。
      市場は一気にリスクオフ(安全資産志向)に傾き、株価が急落。資金はより安全とされる資産(国債や金、円など)に逃避するという流れが起きたと考えられています。

      このように、関税は単なる貿易政策にとどまらず、企業の経済活動や市場心理に直接影響を与えることで、金融市場を大きく揺さぶる要因となったとみられます。

      ダメージを受ける/恩恵を受ける事業者

      ダメージを受ける事業者

      • 輸出依存型企業(自動車、電子機器、精密機器など):関税によって製品の輸出先である米国市場での価格競争力が低下し、販売が減少する懸念があります。
      • 小売・外食など輸入品を扱う業種:輸入食材や雑貨、衣料品などに関税がかかることで仕入れコストが上昇します。企業は価格転嫁を迫られますが、それによって消費者の購買意欲が落ちると、売上減と利益圧迫のダブルパンチになります。
      • 恩恵を受ける事業者

        • 米国内の製造業(鉄鋼・アルミ・自動車など):関税により外国製品が割高になることで、相対的に米国内で生産された製品が価格面で競争力を持つようになります。たとえば、輸入された鉄鋼やアルミに関税がかかれば、米国産の鉄鋼・アルミの方が安く見えるため、国内製造業者の販売が有利になります。また、自動車についても、外国車に高い関税がかかることで米国メーカー(フォードやGMなど)の製品が選ばれやすくなり、国内雇用の増加や生産拡大につながる期待があります。
        • 関税影響が限定的な国の輸出業者(メキシコ、カナダ、ブラジルなど):USMCA(アメリカ、メキシコ、カナダの自由貿易協定)に含まれる品目については、関税を課さない特例措置が継続されるため、他国からの輸出が減る中で“漁夫の利”を得られる可能性があります。また、ブラジルなど関税が10%に抑えられた国々は、相対的な優位性が高まる可能性があるとの見方もあります。
        • 供給網の再構築に対応した国内インフラ・産業:関税による海外依存リスクが顕在化したことで、米国内ではサプライチェーンを国内回帰・多元化する動きが強まっています。これにより、物流、倉庫、建設、ITインフラなどの分野で投資が拡大する可能性が高まっており、関連企業にとっては新たなビジネスチャンスとなります。
        • 日本の不動産市場への影響は?

          結論として、日本の不動産市場は、株式市場と比べるとトランプ関税によるダメージを受けにくいといえます。

          トランプ関税は主に貿易や製造業への直接的影響が大きいものの、日本の不動産市場へは「間接的な影響」にとどまると思われます。以下では、多角的な視点から影響を整理します。

          • 為替変動の影響(円高進行):関税発表によりドル安・円高が進んだことで、外国人投資家にとって日本不動産は割高となり、仮このまま円高が進行した場合、短期的な投資需要は一部鈍化する可能性があります。一方で、すでに保有している外国人投資家は円ベースでの評価額が上昇するため、売却益確定のタイミングとして不動産市場に動きをもたらす要因にもなります。
            • リスクオフ資金の流入:世界的な株式市場のボラティリティ上昇や地政学的リスクの高まりにより、株式等よりリスクが少ない資産への資金シフトが起こる傾向があります。特に東京などの都市部不動産は、安定収益が期待できる資産として評価されており、国内外の機関投資家による需要が引き続き高いと見込まれます。
              • インバウンド需要の減退リスク:円高が進むと訪日外国人観光客の消費が減少し、ホテルや商業施設など観光関連不動産の収益に影響が出る可能性があります。観光都市や空港周辺エリアに立地し、インバウンド需要が収益の柱となっている物件は、短期的に注意が必要です。
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                日本の不動産市場は国内経済や金融政策に強く連動するため、トランプ関税の影響はすぐに影響がある「直接的」なものではなく、「間接的」であると言えます。しかし、為替・金利・国際資金フローの動きによっては、局所的・一時的な影響が現れる可能性もあります。特に投資家にとっては、地域やセグメントごとのリスクを見極めることがより重要になる局面です。

                市場が変動的なタイミングだからこそ不動産クラウドファンディングの検討を

                4月7日の日経平均の終値は3万1136円となり、4月4日終値に比べ2500円以上も下落しました。株式市場が大きく動くときだからこそ、利益を出せるタイミングと考えることもできますが、一般的には難しいもの。そんな状況の中、資産形成の手段として、不動産クラウドファンディングを選ぶのはいかがでしょうか。

                複数の投資家がインターネットを通じて少額ずつ出資することができるので、様々な商品への分散投資がしやすい特性があります。不動産売却益(キャピタルゲイン)と賃貸収益(インカムゲイン)から得られる利益が、分配金の主な源泉となります。個人でも1万円などの少額から投資できる手軽さが魅力で、以下のような背景と特長が今の時代にフィットしています。

                • 不動産市場が金利・内需に基づく安定資産であること:株式や為替が激しく変動する局面でも、日本の不動産価格は比較的落ち着いた動きを保ちやすく、収益性が読みやすい投資対象です。
                  • 分散投資によるリスク軽減 :一口1万円から始められるファンドもあり、物件も複数に分散できるため、大きな資金を一括投資するよりもリスクが低く、初心者にも適しています。
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