利回り通信vol.2 【台湾を代表する建築家:李靜敏×利回り不動産】日台共同で目指す100年後に残す世界遺産「京町屋再生プロジェクト」が始まります | 利回り不動産《RIMAWARIBLOG》

BLOGブログ

利回り通信vol.2 【台湾を代表する建築家:李靜敏×利回り不動産】日台共同で目指す100年後に残す世界遺産「京町屋再生プロジェクト」が始まります

2023/12/19

更新日 2023年12月27日

こんにちは。利回り不動産の京町屋再生事業プロデューサーを務める陳善豪(ZENGOCHEN)です。

私たちのチームは2024年初めから、エキサイティングな新プロジェクトに着手します。
それは、京都の歴史的な町屋を再生するという大きな取り組みです。

この記事では、この京町屋再生プロジェクトの全体像と、私たちがこのプロジェクトに賛同するきっかけについて、皆様にお伝えしていきたいと思います。 この記事で、本プロジェクトがどのようにして京都の文化遺産を守り、現代の生活スタイルに適応させていくのかを、ご紹介できれば幸いです。冒頭のムービーは、プロジェクトの種とも言える台湾の襲園グループが運営する襲園美術館の京都での第一号施設「京寬堂」(きょうかんどう)の映像です。

【はじめに】

京都、その名は古き良き日本の象徴として世界に知られています。かつて平安京として栄え、今もなお日本文化の心としてその美を保ち続けているこの地は、多くの人々にとって特別な意味を持ちます。桜や紅葉の季節には、古都の美しい風景が訪れる人々の心を癒し、神社仏閣が点在するこの地は、歴史と伝統が息づく場所。独自の文化や伝統工芸、食文化を有し、それらは京都の魅力として国内外の人々に愛されてやみません。その繊細な美しさと深い歴史、禅の精神は、アップル創業者のスティーブ・ジョブズをはじめとする世界を牽引するカリスマのほか、建築家や文化愛好家たちを惹きつけ、インスピレーションを与えたことでも有名です。

京都 坐禅 利回り不動産

その裏で、現代化する京都が直面している問題があります。

京都市の発表によると、年に800棟以上の町屋が取り壊されたこともあるそうです。その理由のほとんどは、修繕費の問題や維持費の高騰、再開発の波によるものでした。この古都の急速な変貌にストップをかけるべく、京都市では伝統建築の保存と継承を直近の大きな課題として捉え、様々な取り組みを始めたところです。京都の街は、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返すだけの観光地と異なり、歴史と文化の生きた博物館のような存在であるため、できる限りこの美しい文化を保存し伝統を守りながらアップデートしていくべきだと私たちは考えています。

利回り不動産

【台湾の建築家と京都との繋がり】

多くの方が疑問に思うかもしれませんが、「なぜ台湾の建築家が京都に興味を持ったのか?」という問いに対する答えは、歴史の深い糸を辿ることで明らかになります。

京都は、かつて唐の時代に100万人が暮らしたとされる長安の都市を手本に設計されたことがよく知られています。その後、京都は独自の発展を遂げ今に至ります。一方、大陸では1966年から10年間もの間に続いた文化大革命により、多くの歴史的文化財が破壊され、数千年にわたる文化が大きく損なわれました。この背景から、伝統的な美しい建築や文化が色濃く残る京都は、歴史と美学が融合した唯一無二の都市となり、世界中の芸術家や建築家から研究され、称賛の対象とされています。

台湾の著名な建築家、李静敏(リー・ジンミン)氏もその一人です。彼は中華圏で活躍し襲園グループを率い、「生活美学」を提唱することで知られています。李氏のデザインは、1300年以上前の唐の時代(618年-907年)の建築様式や美学、日本独自の侘寂(わびさび)、禅の精神から大きな影響を受けています。さらに、同氏は、日本を代表する建築家の一人、安藤忠雄氏のシンプルで洗練されたデザイン、自然光や素材の効果的な利用、空間と光の関係など、環境との調和や持続可能性に焦点を当てた設計に感銘を受け、それを独自のスタイルに昇華させています。

李氏は日本の美しさや精神に深い尊敬と愛情を抱いており、その感情が、彼の活動の推進力といえます。また、同氏は、台湾と日本の古い街並みは似ている点が多く、特に台湾では、日本統治時代に残された建物をリノベーションし、大切に使用してきた文化もあると言います。これは、建物をただリビルドするのではなく、「保存しながらアップデート」させていくというアプローチと言えます。このように日本の遺産を受け継いでいる背景もあり、台湾の人々は精神的にも日本とのつながりが深いのだと言います。

私自身も、この精神的つながりの枠組みの中で長年活動しており、その経験がこのプロジェクトへと導いたのだと感じています。

時代の流れとともに、京都の景観は大きく変化しました。近年は、保存コストの増加、再開発の波により、その姿はさらに変わりつつあります。躊躇なくリビルドされてしまう街並み。これらの価値を守り、その美しさと精神を世界に伝える使命を感じ、本プロジェクトを立ち上げました。

利回り不動産 京都

このプロジェクトは、町屋の再生を超えて、京都の世界遺産としての保全と活性化の両立を目指しています。私たちの取り組みは、京都の美しさと歴史を未来に継承するための重要な一歩として、世界中の建築愛好家や美しい暮らしを愛する人々が集い、交流する場をここから創出することを目指すものです。

【襲園(しゅうえん)グループとは】

(上:台湾襲園美術館)


(作品集)

襲園グループは、李氏夫妻が二人三脚で運営する小さな建築設計事務所「僕人建築空間整合」から始まり、今年で20周年を迎えます。現在は50人の社員を擁する企業に成長しました。台湾の襲園美術館の第一号は、李氏によって2012年に建築されました。李氏は、自らの建築家としての自由な発想を表現し、「生活美学」を体現できる場として同施設を作りました。この美術館は日常の一コマがアートのように感じ、新たな芸術や文化を生みだす場所としての役割を果たしています。(末尾に映像あり)

そして創業から20年。襲園グループは、建築・空間デザインにとどまらない、アート、食、旅、暮らしを通して本質的に豊かで上質なライフスタイル「生活美學」を提案する総合ライフスタイルカンパニーとなりました。台湾をはじめアジア各国の文化人や芸術家、政財界にもファンが多い襲園グループですが、現在、京都の町屋再生プロジェクトに加え、台湾の九份(きゅうふん)に世界のクラフトマンシップが体験できる新施設を建設し、常に新しいチャレンジをし続けています。

また近年は、食育の推進や、若手クリエイターが長期滞在しながら創作活動を行えるアーティストビレッジの開発にも力を入れるなど新たな交流の波を拡大しています。

襲園グループと利回り不動産の共同プロジェクトを通じて京都に新しく誕生する施設は、冒頭の映像でも登場した、すでにギャラリー、コミュニティーサロンとして運用する「京寬堂」(きょうかんどう)に続く「襲園生活」*の新たな拠点としての活用を想定しています。この施設は、日本の職人や工芸が世界のクリエイターとの協働で生み出す「日本の文化と世界の文化の融合」を促し、創造性の発展を加速させる重要な場として期待を寄せています。

*「襲園生活」は襲園グループが提案するライフスタイルのブランドです。


(京寬堂@京都 イベント写真)

【襲園グループと利回り不動産がともに目指すもの】

パンデミック以前から、襲園グループは京都の魅力的な町並みの保全に注目していました。特に、京都の町屋は、接道がないことや古い建物であるため保全や再生のための銀行融資を受けることが難しいという課題を抱えています。これは町屋の継承を困難にしている主要な要因です。

利回り不動産が提供する、不動産クラウドファンディングを活用して行う本再生プロジェクトは、築125年の町屋をアートやカルチャーの交流の場となる施設へと変貌させます。さらに、今後シリーズとして展開予定のいくつかの施設では、長期滞在が可能な設備を整え、“暮らすように旅をするスタイル”を提供する予定です。長期滞在を促進することは、気候変動やオーバーツーリズムへの対策として注目されており、短期滞在型の旅行で生じていた過剰な交通を軽減し、エアラインや交通機関のCO2排出を減少させる近道であると専門家も推奨しています。また、この施設を利用する人々に地域に根ざした深い体験を提供することで、人々の共存や、より良い地球環境に繋がっていくと考えています。

また、町屋の再生プロセスでは、地元の建築職人や伝統工芸に携わる事業者が参加し、環境にやさしい技術を継承しながら京都の伝統を現代に引き継ぎ、新たな価値を創出するプラットフォームを築いていきます。これらの活動を通じて、伝統文化を保護し、環境に配慮したまちづくりの一翼を担ってまいります。

私たちは、これらのプロジェクトについて多くの人々に知っていただき、クラウドファンディングを通じて参画していただくことを目指しています。

【京都町屋再生プロジェクト 2024年始動】

このプロジェクトは、京都が誇る「伝統美」と「職人技」を未来世代に継承し、持続可能な発展を図る重要な試みです。京都の歴史的建築や文化遺産を保存するための革新的な手法を採用し、実際に受け継がれるべき職人の技術や知識が生きた町屋の維持に注力します。伝統と、現代の建築技術や最新のファンディング技術との融合によって、新しい文化的価値を生み出す本プロジェクトは、京町屋という「伝統工芸」を次世代へと継承し、新たな時代に適応させることを目指します。

この取り組みは、皆さんのご支持によって成り立ちます。それ以上に重要なのは、活動についての理解と認識を広めることです。皆さんの周りの方々へ私たちの取り組みをご紹介いただき、広く知っていただくことが、目標達成には不可欠です。

日本が世界に誇る京都の町並みや伝統建築の保全は、単なる地域の問題にとどまらず、世界的な文化遺産の保護という、より大きな視点で捉えるべき課題だと考えています。そして、完成した施設の活用やワクワクするようなアート・カルチャーの交流や体験を通じて、日本の素晴らしい文化を次世代へと継承するため共に歩んでいければと思います。

第一弾は、2024年初めにプロジェクトスタート予定です。どうぞご期待ください。

◆◆◆


京都町屋再生事業プロデューサー
陳善豪(ZENGOCHEN)ご挨拶

初めまして。私は、京都町屋再生プロジェクトの責任者、陳善豪(ZENGOCHEN)です。台湾生まれ日本育ちの私は、観光局や経産省との共同事業をとおして、日本の魅力やモノ、コトを伝え日本と外国の文化を繋ぐ仕事を長年してきました。伝統芸能を継承する家系にルーツを持ち、長年様々な伝統文化に囲まれ育ったことも背景にあると思います。現在は活動の幅を広げ、伝統文化×不動産×テクノロジーという分野を組み合わせた新たな領域で、持続可能な将来に繋げることに向けたチャレンジをしています。不動産クラウドファンディングを有効に活用することで、このような意義深い活動を進めることができるのは非常に素晴らしいことだと感じています。投資という枠を超え、新しい興味や社会的な課題に目を向ける機会を提供することも、私たちにとって重要な役割だと考えています。
旧友である襲園グループ李氏と共にスタートした本プロジェクトはシリーズとして展開していく予定です。まだ始まったばかりの段階ですが、皆様の温かい支援と応援を心からお待ちしています。

襲園グループ紹介

襲園グループ
襲園グループは今年で創立20年を迎えた台湾を代表する建築家の1人、李靜敏(リー・ジンミン)率いるクリエイター集団。「僕人建築空間整合」、「襲園美術館」などを台湾や中国に展開しています。禅にインスパイアされた建築・空間デザインを柱とし、アート、食、住、旅を通して本質的で上質なライフスタイル「生活美學」を提案する総合ライフスタイルカンパニーです。

襲園グループ理念

⬇︎李氏へのインタビュー記事も併せてご覧ください⬇︎
利回り不動産 京都町屋再生 しゅうえんまちや

RIMAWARIBLOG運営元情報

ZENGO CHEN
ZENGO CHENRIMAWARIBLOG編集責任者
「利回り不動産」が提供する「RIMAWARIBLOG」ではサービス利用者へ向けた企画情報の発信に加え、各分野の専門家の監修・協力を得て、不動産投資や資産形成をはじめたいと考えている読者に向けて、親切で役に立つ情報を発信しています。
       記事一覧へ