おさいふ放浪記 Vol.2 「バブルとはなんだったのか」 | 利回り不動産

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おさいふ放浪記 Vol.2 「バブルとはなんだったのか」

2021/12/15

<最終更新日> 2022年4月20日

著名人インタビュー歴 2000 人以上。
昭和、平成、令和を第一線で書く女のマネー・エッセイ。
本企画は過去現在、そして未来の「お金」と「生き方」にまつわる話を、ノンフィクション作家の森綾(もり・あや)がエッセイ、著名人インタビュー、体験談などを交えてお送りしていきます。
経験は豊富。でも見た目は40代です!(本人談)。どうぞお楽しみください。

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第2回 バブルとはなんだったのか

1円硬貨の姿は全く変わっていないのに、時代とともにその貨幣価値は変わっていきます。
10億、14億。。。
都内一等地のマンションは億ションどころか「10億ション」だったあの時代。

そう今回のエッセイはバブル時代の狂乱を遡りましょう。
良かったでも悪かったでもなく、ただそういう過去があり、私たちの時間軸はその延長戦上にあるのです。

昨日、日本テレビの『月曜から夜ふかし』を見ていたら、マツコデラックスさんがバブル時代のことを少し話しておられた。

「日テレが麹町にあった頃よ、その近所にあったマンションが100平米もないのに20億だったのよ!!」

おそらく今20~30代の人たちは「はあ」という感じだと思う。50代の人は「あるある」と思ったことだろう。
それほどに、日本はバカになっていたのである。土地の値段は日本全国で高騰し、それも乱高下していた。
その頃私がいた大阪でも、喫茶店ではよくこんな会話が聞かれた。

「長堀のビルな、今は6億や。来週は13億までいく」

「手ぇ打つか」

「今いっとくしかないやろ」

13億がその翌週には4億になるかもしれない。何か子ども銀行の話のように聞こえた。
不動産屋さんらしいその人たちは、肩幅が広いジャケットにダボダボしたパンツのダブルのスーツを着て、ヴェルサーチの派手なネクタイをしていた。
誰がまともなサラリーマンで誰がヤカラなのかわからない時代だった。
土地を転がし、お金を儲ける。土地を扱う免許のない人までが、そんなことをしていたのではなかろうか。
過度にお金が膨らんだり縮んだりする。膨らんだお金はまた惜しむことなく遣われる。
銀行は中小企業や零細企業にもお金を貸したがった。
土地を担保に貸付け、皆またさまざまなものに投資した。
バブルがはじけたとき、全てが持っていかれ、さらにまだ巨額の借金が残ることなど思いもよらずに。

しかし、手堅くちまちまと株を買って儲けていた庶民もいた。私の元夫はその庶民の1人で、三井不動産や日本航空の株で数十万円を儲け、買ったマンションの改装費に当てたと自慢していた。
ちまちま増やす。バブルらしくないそのやり方は実は堅実だったのだ。

しかしそんな元夫も一つ大きな失敗をした。
それがゴルフ会員券である。
ゴルフ会員権、と聞くだけで、心が黒い影に沈んでいく人たちは多いのではないだろうか。
彼もその1人だった。茨城の某ゴルフ場の会員券を500万くらいで買ったものの、みるみる下がっていった。
しかし「ホテルのような温泉付きクラブハウスがある」とか「コースの作りがちょっとバブリー」とか言いながら、自分を慰めていた。
私は2002年ごろに、バブルの頃に建てられたという静岡・三島の大きなゴルフ場のパンフレットのコピーを書いたことがある。
コースは途中、富士山が見えたり、茶室があったりするゴージャスさ。高級ホテルさながらのクラブハウスの上にはヘリコプターが降りられるようになっており、群馬あたりから政治家さんも来られるとのことであった。
おそらく当時のそのゴルフ場の会員券の値段は数千万だっただろう。
 
「今は安いですよ」

取材対応をしてくれた担当者は、ゆるく営業トークした。いやいや、私、ゴルフは結婚とともに辞めましたから。

あの頃の「ゴルフ」は、もっとも有効な接待の代名詞であり、それ相応な男女の合コンの場でもあり、それを嗜む人たちを形成する不動のステイタスであった。
亡くなった漫画家・中尊寺ゆつこさんが週刊SPA!で描いた「オヤジギャル」たちはこぞってワンレンの髪で短めのキュロットパンツを履き、昨夜のワインが抜けきれない体でスィングしていた。
「オヤジ」たちの趣味に手を染めることが、男と肩を並べて生きる「男女雇用機会均等法」時代の女性の鎧であったかのように。
セクハラという言葉はちょっと芽が出つつあったが、パワハラやモラハラという言葉はまだなかった。
女性たちはゴルフクラブを手に、男性たちと肩を並べるしかなかった。
それを楽しめる度量のある「オヤジギャル」が、当時はかっこよくもあったのである。

私はバブル当時、スポーツ新聞の文化部で嘱託記者をしていた。
準社員待遇だった。
新聞社自体がバブルでお金持ちになるということはなかったが(特に毎日新聞社系は)、取材先の放送局は広告収入も天井で、土地を売買したりもしていたのだろう、非常に潤っていた。
 
先輩の放送記者に連れられ、23〜24歳の私も毎晩のように北新地の高級クラブにいた。クラブはそれぞれ各局広報部の行きつけの店というのがあり、お代はどうやら月々まとめて振り込まれているようだった。

「〇〇テレビの広報予算は年間6000万らしい」

そんな噂を耳にした。1人1〜2万円くらいのご飯を食べて、クラブへ行くというような接待が改編のたびにあった。
その他、ただ飲みに行くだけというのもあったり、とりあえず23時頃にはどのクラブも満員になっていた。

高級クラブのママさんは、映画『極道の妻たち』のような絢爛豪華な和服姿で、「立髪」言われるように前髪をハードスプレーでおっ立てていた。
ホステスさんたちはたとえバイトであっても美容院に行ってから来る様子だった。
時々「家事手伝い」という肩書きで『25ans』で読者モデルをしている人もいた。
驚くべきことに「〇〇さんの彼女」という感じで、本当の彼女なのか擬似彼女なのかわからないが、店で担当ホステスが決まっているようだった。
 
訪れる男性たちはたいてい2軒程度、店をはしごした。
亡くなったやしきたかじんさんは一晩に10軒以上回るという噂もあった。
放送局の人たちは、ご飯を食べて、局の店で長く過ごすことが多かったと思う。
そういう店には芸能プロダクションやレコード会社の人もいた。
レコード会社でモテたのは、某社支社長のSさんだった。Sさんは青い石の入った大きな指輪をしていて、色もののワイシャツに激しく派手なネクタイをしていた。

「いやあ、しーさん」

ホステスさんはなぜか苗字の一番上のひらがなで男性たちを呼んだ。今思うに、な、とか、し、とかだけで済めば、全部憶えていなくても誤魔化せるからではないか。

「ママ、今日も綺麗だねえ」

「男前に言われたらかなんわ」

そんな会話が交わされていく。
20代女子でそういう店にいるのは正直、そう楽しくはなかった。
だから私はいつもカラオケばかりしていた。
若い、あまり人気のなさげなホステスとボソボソ喋っていたりもした。
服装は私の方がホステスらしかった。そういえば、当時は誰がOLで誰がホステスか、見た目からはわからない時代だった。
あまり人気のなさげなホステスは会話も不得手なものだが、たまに面白い話も聞いた。

「この間ね、お客さんが『どこでも帰れや』ってタッ券(タクシーチケットのこと)をくれはったんです。『実家でもええんですか』って聞いたら『おお、ええよ』って。ほんで、帰ったんですわ」

「実家どこですのん」

「広島」

広島まで帰られてしまったそのどっかの会社の人は、総務から呼び出されなかったのだろうか。
タッ券を札束のように振りかざし、自分は無限のお金持ちであるかのように振る舞っていた人たちは、今どうしているのだろうか。
バブル時代とは、タッ券に象徴される「目に見えないお金」を回して狂喜乱舞した時代だったように思う。
私自身はつかんでは消えるその泡の中で、結局貯金もできなかった。
残ったのは、大量の洋服と靴と価値のないジュエリー。
そして何より「誰かのお金で思いきり遊んだ」という記憶だった。
いったい誰がどう払ってくれたのか、わからない夜がたくさんあった。
おそらく多くの人がそんな思い出を心のなかの鍵付きの箱にしまっているはずだ。
良いとか、悪いとか、間違っているとか、仕方がなかったとか、そんな価値判断は泡の中でもがいている人間にはとてもできなかったのだ。
確かなことは、そんな時代はもう来ないということだ。
たまさか来たとしても、違うお金の遣い方があるだろうと思う。
もういいでしょう。…いや、一度経験したからこそ、そう思えるのだろうか。

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#rimawariblog #利回り不動産 #森綾

本連載企画は、「森綾」が自身の体験に基づいた、お金にまつわるエッセイやインタビューを中心に連載していくコーナー「1万円からできる・利回り不動産」の提供でお送りしています。次回もお楽しみに!

プロフィール

PROFILE
  • 森綾(もり あや)
  • エッセイスト、作家。
  • 近著はロングセラーとなっている『一流の女が私だけに教えてくれたこと』
  • (マガジンハウス刊)、『Ladystandard』(マイナビ出版)、
  • 『大阪のおばちゃんの人生が変わるすごい格言100』(SBクリエイティブ)など多数。
  • スポーツニッポン新聞社大阪本社で文化部記者に。
  • ミック・ジャガー初来日での単独インタビューで編集局長賞を受賞。
  • その後、FM802開局時の広報・宣伝のプロデューサーに。’92年に上京、独立。
  • 人物インタビュー、ルポルタージュ、エッセイ、コラム、雑誌、新聞、WEB小説など
  • 多方面で執筆。作家、俳優、アーティスト、タレントなど様々な分野で活躍する著名人
  • のべ2,000人以上のインタビュー経験を持つ。
  • 長年のレギュラーインタビューは雑誌ミセス「表紙の人」、毎日新聞「ラジオアングル」
  • 星野リゾート公式HP社長対談構成など。
  • これまでに著した媒体は、AERA,週刊朝日,BAILA,VERY,Saita,婦人公論,LEE,UOMO
  • COSMOPOLITAN,Men’s club,日経エンタテインメントなど多数。
  • 近年は、人と香りをつなぐwebマガジン「フレグラボ」の執筆監修、
  • WEBマガジンのBRISAのチーフエディター(2010-2017年)
  • WEB小説『音楽人1988』(『音楽人』として2010年映画化)など、WEBコンテンツにも
  • 積極的に関わっている。
  • Facebook
    https://www.facebook.com/aya.mori1
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