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不動産投資における表面利回りと実質利回りの違いとは?
更新日 2022年2月7日
不動産投資に興味を持つ人にとって欠かせない知識のひとつに「利回り」があります。
利回りとは、投資金額に対して得られる年間収益の割合のこと。
しかし、利回りが高ければ確実に高い収益が上がるというわけではありません。
「高い利回りの物件を選んだのに、利益が生まれない」ということにならないためには、利回りについてしっかりと理解する必要があるのです。
今回は、不動産投資における「表面利回り」と「実質利回り」の違いや計算方法、相場などについて詳しく解説していきます。
- 不動産投資に興味がある
- 不動産投資の利回りについて知りたい
不動産投資の2つの利回り
不動産投資における利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
「表面利回り」は、年間家賃収入を物件購入価格で割ったもので「物件購入価格に対してどれだけ家賃収入を得られるか」を表しています。
しかし、実際に不動産投資を行う際は、手数料や税金、修繕費などの経費がかかります。
こういったコストを考慮して算出したものが「実質利回り」です。
両方の違いを理解するために、実際の計算方法を見ていきましょう。
表面利回り
「表面利回り」の計算方法は、以下のとおりです。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件購入価格×100
表面利回りは、グロス利回りとも呼ばれています。
不動産投資で「利回り」と表現される場合は、この表面利回りを指すのが一般的です。
投資物件を選ぶ際の最初の目安になる指標とされています。
実質利回り
「実質利回り」の計算方法は、以下のとおりです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間コスト)÷(物件購入価格+購入時コスト)×100
実質利回りは、ネット利回りとも呼ばれています。
年間コストには固定資産税や管理・修繕費を、購入時コストには不動産仲介手数料などの支出を含んで計算するため、より実際の運用に合った利回りを算出することができます。
表面利回りと実質利回りの違い
では、表面利回りと実質利回りの違いをきちんと把握するため、より具体的な計算を見てみましょう。
表面利回り
物件Aは購入価格5,000万円、年間家賃収入見込みが550万円
物件Bは購入価格5,000万円、年間家賃収入見込みが500万円だった場合
物件A:550万円÷5,000万円×100=11%
物件B:500万円÷5,000万円×100=10%
物件Aの表面利回りは11%、物件Bの表面利回りは10%になります。
実質利回り
さらに、物件Aの購入時コストが150万円、年間コストが180万円
物件Bの購入時コストが150万円、年間コストが120万円だった場合
物件A:(550万円-200万円)÷(5,000万円+150万円)×100=6.8%
物件B:(500万円-120万円)÷(5,000万円+150万円)×100=7.4%
物件Aの実質利回りは約6.8%、物件Bの実質利回りは約7.4%となります。
これを見ると、表面利回りは物件Aが高かったものの、経費を考慮した実質利回りは物件Bが高くなっています。
つまり、物件Bがより収益性の高い物件だと言えるのです。
収益性の観点で物件選びを行う場合は、まずは表面利回りを見て物件を絞り込み、実質利回りを計算し、実際の収益を確認して比較検討することが大切なのです。
表面利回りの平均と地域相場を知る
投資物件を選び始めた方にとって、利回りは何%が相場なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
利回りの相場は、区分マンション投資やアパート1棟投資などの物件の種類や地域によっても大きく変わります。
ここでは、物件種別と地域別の平均利回りについて、それぞれ紹介していきます。
平均相場
物件種別に比較した表面利回りの平均相場は以下のようになります。
ただし、新築か中古、築年数などによっても利回りは変動するので注意が必要です。
物件 | 利回り |
---|---|
区分マンション | 3~4% |
アパート | 6%前後 |
戸建て | 8%前後 |
地域相場
2021年5月の不動産投資家調査(一般財団法人 日本不動産研究所)によると、地域別の期待利回りの平均値は以下のようになります。
【賃貸住宅一棟の期待利回り】
地域 | ワンルームタイプ | ファミリータイプ |
---|---|---|
東京都 城南エリア(港区・品川区・目黒区・大田区) | 4.2% | 4.3% |
札幌 | 5.5% | 5.5% |
仙台 | 5.5% | 5.5% |
横浜 | 4.8% | 4.9% |
名古屋 | 5.0% | 5.0% |
京都 | 5.2% | 5.2% |
大阪 | 4.8% | 4.9% |
神戸 | 5.1% | 5.2% |
広島 | 5.7% | 5.8% |
福岡 | 5.0% | 5.1% |
東京は地方都市と比べて物件価格が高いため、利回りは抑えられる傾向にあります。
ただし、需要が高く、空室リスクが低いというメリットもあるため、利回り以外の点も考慮する必要があるでしょう。
他にもこんな利回りが
「表面利回り」と「実質利回り」の他にも、いくつか不動産投資に関連する利回りがあります。
ここでは「想定利回り」と「自己資金利回り」について紹介します。
想定利回り
「想定利回り」とは、1棟物件において1年間全ての部屋が満室になっていることを想定し、そのときの家賃収入をもとに計算した利回りです。計算方法は以下のとおりです。
想定利回り(%)=満室時の年間家賃収入÷物件購入価格×100
満室時想定利回りと呼ばれることもあり、あくまで満室時のもっとも多い家賃収入を想定したものなので、実際の収益とは異なる場合もあります。
また、表面利回りと同じくコストについても考えていないため、注意が必要です。
自己資金利回り
「自己資金利回り」とは自分のお金(自己資金)を運用して、どれだけの利益を得たのかを表す利回りです。
計算方法は以下のとおりです。
自己資金利回り(%)=満室時の年間家賃収入÷自己資金拠出額×100
自己資金利回りは、自己資金をいかに効率的に利用して収益を得ているかを表す指標です。
レバレッジ効果(小さい資金で投資効果を上げ、収益性を高めること)を強調するために使われています。
物件の収益性を評価する値としては適していないことを覚えておきましょう。
理想的な利回りとは?
では、実際に物件選びをする場合、何%程度の利回りが理想的なのでしょうか。
不動産投資には、さまざまなコストがかかります。
管理会社への委託費用や管理費・修繕費積み立てなどの支出が生じ、想定していたよりも収益が上がらないということも。
管理コストや空室リスクも考えながら、平均よりも1~2%ほど高い利回りの物件を選ぶのが理想的です。
見逃しがちなコストを考慮する
実質利回りを計算する際の年間コストおよび購入時コストには、さまざまなものが考えられます。
なかには見逃しがちなコストもありますので、以下の項目を参考に見積もっていきましょう。
年間コストの例
・税金(固定資産税、都市計画税など)
・管理委託手数料(管理会社に委託する場合)
・不動産ローンの元金・金利の返済
・改修費用
・管理費など
・募集広告費用
・火災保険、地震保険など
購入時コストの例
・税金(不動産取得税、印紙代、登録免許税など)
・不動産仲介手数料
・不動産ローンの融資事務手数料や保証料など
また、売却するときにも税金や仲介手数料が必要になります。
どのようなコストがあるかを考えた上で、購入物件を選択しましょう。
まとめ|表面利回りはあくまで目安として考える
利回りとは、不動産物件の購入金額に対してどれくらいのリターンを得られるかを表す指標です。
しかし、特に表面利回りはあくまで目安と考えるのが大切です。
実質利回りを計算し、収益性を把握することで、より実際に則した利回りを知ることができるでしょう。
投資物件を選ぶ際には、高い利回りだけに惑わされることなく、支出が予想されるコストや空室のリスクを考慮することが大切です。
不動産業者のアドバイスを参考するのも、不動産投資を成功に導くひとつの手段としておすすめです。
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