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最適な「資産運用割合」はこうやって決める!注意点と方法をまとめました。
更新日 2022年9月30日
「資産運用」をはじめたい!と思ったら、まず自分の資産からどれだけを投資に回せるのか、回してよいのかを知る必要があります。その金額は、投資をする人の収入や生活の状況によって様々なのはいうまでもありません。一概に「このくらいの割合が最適」と言えるものではなく、ある程度の傾向を探ることはできても、絶対的な割合はありません。
現在から老後までどのような資産形成を行っていくのか、現在の生活に必要なお金や近い将来必要になってくるまとまったお金はどのくらいになるのかなど、複数の要素を勘案してプランを立てることが肝心です。
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- 資産運用について知りたい
- 難易度★☆☆☆☆
自分の資産を分類してみよう
投資にあてる金額を割り出すためには、まず、自分の資産を分類してみましょう。その際に分類する項目は、「生活に必要な資産」「緊急時必要な資産」「余裕資産」の3つに分けてみることをおすすめします。
ちなみに、2020年8月の「日本銀行調査統計局作成」の資料によると、日・米・欧の家計に金融資産構成は以下のようになっています。
▽家計の金融資産構成
現金・預金 | 株式・投資託・債券等 | 保険・年金その他 | |
---|---|---|---|
日本 | 54% | 14% | 32% |
米国 | 14% | 51% | 35% |
欧州(ユーロ圏) | 35% | 28% | 37% |
以前から、日本人は欧米人に比べて、個人資産に占める貯蓄の割合が多く、株式・投資信託等の割合が少ないといわれてきましたが、現在もそうした傾向は続いているようです。日本の家計資産にしめる株式・投資信託・債券等の割合は、14%と決して高くなく、現金・預金の高さとともに際立った特徴を見せています。
資産1|生活に必要な資産
一つ目は、いわゆる「生活費」。食費や家賃、通信費、水道光熱費など、日々の生活を維持していくのに必要なお金です。月ごとの生活費に大きな変動はないので、1カ月に必要なお金は簡単に見積もれるでしょう。
今までと同じ生活を今後も維持していくためにも、生活費は預貯金で確実にキープしておくことが肝心です。
資産2|緊急時に必要な資産
会社勤めで一定額の収入がある人でも、自身や家族の病気、会社の業績不振や倒産など、なんらかの理由で収入が激減したり、途絶えてしまったりすることもありえます。こうした事態を想定して、当座の「生活防衛資金」を蓄えておくことも大事です。危機的な状況を乗り越えるために、3カ月分は生活できるだけのお金は用意しておきたいものです。
一方、結婚や出産、子どもの養育費や教育費、マイカーや住宅の購入など、近い将来のライフステージで想定される出費への準備も怠ることはできません。住宅購入や教育費など将来の大きな支出に備えて貯金をされている場合、これらのお金を投資に回すのも禁物です。
資産3|余裕資金
上記2項目のお金を除いた残りが、特に使う予定がないお金となります。言い換えれば、これが「余裕資産」であり、投資に使ってもよいお金といえるでしょう。
ただし、投資は元本保証ではありません。資金が目減りすることも十分にありえます。「最悪の場合、このお金はなくなってもよい」と思える金額を資産運用に回すのが賢明です。
資産運用割合を考える3つのポイント
資産運用をどのような割合で行うのかは、以下に紹介する3つのポイントを抑える必要があります。
現在の自分の資産状況を把握し、そのうえで資産運用の目標値を設定、具体的に投資に回せる余裕資産を算出しましょう。
ポイント1
現状を把握
まず、現在の自分の資産状況を把握しましょう。手持ちの貯蓄のうち、いくらなら投資に回せるのかを知るためには、今どのくらいの貯蓄や収入があるのかを掴むのが第一歩です。
資産状況を把握するために、家計の収支確認表を作成することをおすすめします。年間の収入と支出の合計がわかれば、1年間で貯蓄や投資に回せる資金の額がわかります
引用:「日本FP協会」
続いて、「キャッシュフロー表」を作成して、現在から将来までの家計の変化をチェックしてみましょう。キャッシュフロー表には、子どもの進学や車の買い替えをはじめライフイベントも書き入れることで、年ごとの貯蓄や投資に回せる金額がわかります。
引用:「日本FP協会」
ポイント2
目標を設定
続いて、資産運用の「目標値」を設定します。なぜなら目標値を設定しない限り、投資期間や投資商品が決まらないからです。具体的には、「金額」と「期間」を考えます。また、資産を増やす目的も具体的に考えましょう。目的によって金額も期間を変化するからです。
ポイント3
余裕資金の準備
自分の貯蓄の現状を把握して、余裕をもって投資ができる資金を準備しましょう。
金融商品は少額から始められるものもあれば、多額の資金を準備しなければならないものまで、さまざまな種類があります。これは、資産運用を行う方法と金融商品の種類によっても金額が変わってくるということです。
そして、「リスクの許容範囲」を決めましょう。「生活に支障を来さない範囲」が基準ではありますが、そのうえで、自分はどこまでリスクをとれるのか、どのくらいの損失までなら許容できるのかを明確にすることです。リスクの許容範囲を決めることによって、どのような投資商品にどのくらい投資するのかを判断することもできます。
金額別におすすめの資産運用
投資にあてられる金額の割合が決まったら、実際にどのような方法で投資をするのか考えてみます。投資を無理なく続けるには、用意した資金に適した方法を選ぶことが肝心です。
もちろん、金額によって決まった投資方法があるわけではありません。とはいえ、これから投資を始める人にとっては、参考や基準になる投資方法がないとイメージも湧きにくいことかと思います。ここでは、金額別のおすすめの投資方法を挙げていきます。
100円~30万円未満
30万円未満の場合は、100円からと少額でも投資できる「投資信託」がおすすめです。
多くの投資家から集めた資金をまとめて投資に活用する方法で、実際の取引は資産運用の専門家が行います。運用を専門家に任せておけるので、投資に関する知識が乏しい人も気軽に始められるでしょう。
数万円から数十万円の資金で投資できるのが、「REIT(不動産投資信託)」です。
投資信託同様に、多くの投資家から集めた資金を専門家が不動産に投資します。不動産への投資は多額の資金が必要となりますが、この仕組により少額でも投資が可能です。
そのほか、投資の運用益が非課税になる「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」もおすすめです。
通常、投資による利益は20.315%課税されますが、年40万円までは非課税となるのが大きな特徴です。40万円を1カ月あたりの金額にすると、毎月3万3333円までの積立が可能となります。
30万円~100万円未満
用意できる資金が数十万円ある場合は、投資信託の一種である「ETF(Exchange Traded Fund・上場投資信託)」を考慮してみてもよいでしょう。
ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウ等の複数の銘柄で構成されている指数に連動するように運用されています。1つのETFに投資すれば少額ずつ分散投資しているのと同じことになり、元本割れのリスクを軽減することにもつながります。
また、金融商品取引所に上場しているため、証券会社に口座を開けば、価値の変動をリアルタイムでチェックしながら、株式同様に売買の取引ができます。
100万円~1,000万円
数百万円の資金を用意できるのであれば、「株式投資」も有力な選択肢になってきます。株取引は10万円以上の単位を条件とすることが多いので、最低でも100万円前後を投資に回すことを想定しておきましょう。ただし、他の投資法に比べ失敗するリスクは高めといえます。事前のリサーチや学習が欠かせません。
なお、大きな金額を投資に回せる場合は、リスク分散を念頭に置いて、複数の投資先を選ぶのが得策です。ただし、投資先が多岐にわたると運用が煩雑になるので、投資会社に運用を任せる方法がおすすめです。
資産運用割合を決める上で大切な3つのポイント
「ローリスクでハイリターンの金融商品があれば……」とは、誰もが思うことですが、そのような都合の良い金融商品は世の中には存在しません。ただし、できる限りリスクを小さくして、自分の望むリターンを得るための鉄則となるものはあります。ここでは、リスクを上手にコントロールし、しっかりお金を増やしていくために資産運用で留意したい3つのポイントをご紹介します。
ポイント1
資産の分散
資産の分散とは、「1つの金融資産にまとめて投資せず、様々なものに分散して投資をする」ことを指します。
分散して投資をしておけば、ある資産の価値が下がったとしても、他の資産で異なる値動きが期待できるため、リスクを効果的に抑えることができます。一つの国、一つの会社に集中して投資せず、世界中の様々な資産を投資先として視野に入れて、分散を図りましょう。投資信託でも、国内外の株式や債権のほかREITなど投資対象は様々です。投資対象の異なる投資信託をいくつか保有すれば、分散して投資をしていることになります。
ポイント2
長期保有
金融資産の長期保有とは「少なくとも10年以上は保有を続ける」ことを指します。
世界経済はこれまでに何度も金融危機を経験しています。近年だけでも、アジア通貨危機やルーブル危機、ドットコムバブル、リーマンショック、ギリシャ通貨危機など。なかでもリーマンショックは、「100年に一度の危機」といわれ、資産は大きく目減りしました。しかし、その後時間をかけてマイナス分を取り返し、成長へと転換しています。
世界経済は、短期的なアップダウンを繰り返しながらも、中長期的には成長を続けてきました。これは、市場は短期間でみると一時的な要因で大きな変動をきたすことがあっても、長期間でみると変動リスクが小さくなる傾向があるということです。
ポイント3
時間の分散
時間の分散とは「資産の購入タイミングを複数回に分けて投資を行う」ことを指します。
金融商品には値動きがあり、投資した直後に価格が下落する可能性もあります。このような場合には資産を投資するタイミングを分散することで、こうしたリスクを低減させることが可能です。一度に全額投資するのではなく、何回かに分けて投資したり、毎月一定額を積み立てたりするなど購入時期を分散させましょう。結果的に、投資するタイミングを1回に限定するよりも購入価格を抑える効果が期待できます。
代表的なのが「ドル・コスト平均法」(定時定額購入)と呼ばれる方法です。長期間、定期的に一定金額で投資信託を購入していくと、基準価額が高いときには購入口数が少なく、低い時には購入口数が多くなりますが、結果として購入価額の平均が割安になることを目指すというものです。
まとめ|資産運用の格言「卵はひとつのカゴに盛るな」を実践する
資産運用にまつわるさまざまな格言・金言がありますが、中でも、今回ぜひ覚えておいてほしいのが「卵はひとつのカゴに盛るな」です。これは欧米で古くから言われてきた「Don’t put all your eggs in one basket.」を日本語訳にしたものだと言われています。その意味は、全部の卵をひとつのカゴに盛ると、もしカゴを落としてしまうとすべての卵が割れてしまう可能性がある。複数のカゴに盛っておけば一つのカゴを落として卵が割れたとしても、他のカゴに盛った卵は無事で、やがてそこからヒヨコが生まれ、ニワトリに育つ可能性がある。というものです。
常にご自身の資産運用割合のバランスを確認しながら、分散したかしこい資産運用を行いましょう。
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