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2025年問題と不動産投資の未来とは?
更新日 2024年3月14日
目次
はじめに
不動産投資に興味がある方ならずとも、これからのマーケットの動向に注目している人々にとって、「2025年問題」というフレーズは耳慣れないものではないはずです。この言葉が示唆する通り、我々が直面しているのは、不動産市場における一大転換期であり、この問題は既に不動産投資を行っている人はもちろんのこと、これから不動産投資を始めようと考えている人々にとっても、無視できない大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、この問題に対する深い理解と適切な対策が求められています。
この記事では、まず2025年問題の背景とその概要について詳しく説明し、続いてこの問題が不動産価格に及ぼす影響と、投資家としてどのように対応すべきかについて解説をしていきます。
2025年問題が不動産投資にもたらす影響とは?
人口は2008年をピークにすでに減少に転じ、その上、高齢者の割合が増す――。
そこで不動産投資において起こりうる変化といえば、とりもなおさず「不動産価格の低下」です。
例年、国産ウナギが高値で取引される背景には、「国産ウナギを食べたいと思う人の数」が「市場の供給量」を上回るという経済の原則があるように、あらゆる製品・サービスの価格は「需要と供給」のバランスで決まります。
不動産の場合、新たな物件に対する購買意欲が低い高齢者が増えれば増えるほど需要が低下するのは自明のこと。したがった2025年問題を経て、不動産価格が低下すると考えられるのも当然と言えば当然なのです。
深刻な空き家問題と相続登記の義務化
このように不動産価格の低下が予測されるばかりか、一部では「暴落を招く」という指摘さえある不動産投資の2025年問題。それに拍車をかけると指摘されている別の問題が2024年から始まる空き家登記の義務化です。
日本全国にある空き家の数は、2018年の時点で約848万戸。この数は今後さらに増えていくと見込まれています。
この深刻化する空き家問題に対処すべく、政府は2024年から空き家の相続登記を義務化。日本全国にある空き家の一軒一軒がもれなく相続された結果、これまで放置されていた空き家が不動産市場に流れ込み、さらなる供給過多へとシフト。これにより不動産価格の下落に拍車がかかると言われているのです。
2025年以降を見据えた不動産投資のポイント
不動産投資においても大きな逆風となることが予想される2025年問題。しかし、2025年以降は不動産投資が立ち行かなくなるというわけでありません。
というのも、すでに人口が増加から減少に転じた日本ですが、その一方で総世帯数には2015年をピークに緩やかな減少に転じてはいるものの、まだまだ横ばいの状態。不動産の売買は人口ではなく世帯数を基準に考えるのが自然であり、この点に関してはいきなり不動産価格が大暴落するという心配はなさそうです。
では、2025年問題を踏まえたうえで不動産投資を行うためのポイントを見てみましょう。
需要が見込めるエリアの見極め
需要が見込めるエリアの見極め
国全体としては人口減に転じた日本ですが、個別の地域に目を向けるとその増減に地域差があることがわかります。
注目すべきは人口が増加している地域。2020年の国勢調査では、東京都、沖縄県、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、滋賀県という8都県だけが人口を増やしています。
特に東京都の3.9%※と沖縄県の2.4%※は全国で見ると突出した数値であり、今後の不動産投資におけるエリア探しのひとつの指針となりそうです。
※増加率(%)は2015年との比較
中古より新築物件を優先
そもそも「新たに家が建つ」のは、そこに需要があるからにほかなりません。
この事実を素直に受け止めれば、中古物件よりも新築ないし築浅物件の方が、需要があることは明らかです。
なお、現在、国と地方自治体が中心となり、今後の社会変容に対応した新たな街づくり計画(立地適正化計画)が進められています。これは、人々の医療や福祉、商業といった都市機能へのアクセスを重視した、いわゆる“コンパクトシティ”を目指す計画であり、今後はこの計画に基づいて建てられた都市中心部の新築物件への需要がさらに増していくことが見込まれます。
インバウンド需要を意識する
2023年10月の訪日外国人観光客数が251万人を記録し、コロナ前の2019年を上回るV字回復を見せているインバウンド需要。長引く円安も外国人にとっては追い風となり、今後も訪日外国人は堅調に増えていくことが予想されます。
したがって、コロナ禍により一時は壊滅状態に追い込まれた民泊や外国人向けのアパート・マンションといった物件は、今後もますます注目を集めそうです。
まとめ: 対象物件を選りすぐり、堅実な投資を
社会全体に大きな変化をもたらす可能性のある2025年問題ですが、「2025年になったら、突然何かが変わる」というわけではありません。むしろその変化はすでに始まっていると考えるべきであり、不動産投資にもこれまで以上に先々を見据える心構えが必要です。
実際、1971~1974年に生まれた団塊ジュニア世代が還暦を迎えることで起きる「2035年問題」についても取りざたされており、これから起きる変化は少なくとも5年や10年で収束しそうにはありません。
とはいえ、すべてをネガティブにとらえていても不動産投資は上手くいきません。社会がどれほど変化しても「人が家に住む」ことは変わり様がない営みであり、不動産投資においても、その時代に即したアプローチが生まれてくるはずです。
不動産投資のスタイルも以前と比べて、選択肢が大幅に広がり、多様化しています。従来の現物不動産投資だけでなく、近年では不動産クラウドファンディングやREIT(不動産投資信託)といった方法が登場し、投資家たちにとって手軽に多様な不動産投資を行う道が開かれました。これらの新しい投資手法は、特に初心者や小規模投資家にとって、大きな資金を必要とせずに不動産市場への参入機会を提供しています。さらに、テクノロジーの進化により、オンラインプラットフォームを介して簡単に不動産投資が行えるようになり、地理的な制約なしに国内外の様々なプロジェクトに参加できるようになったのです。これらの新たな投資スタイルは、リスク分散や手軽さを求める現代の投資家のニーズに応える形で成長しており、不動産投資の世界に新たな風を吹き込んでいます。
社会全体における2025年問題とは?
そもそも「2025年問題」とは不動産投資に限ったテーマではなく、世の中全体に影響を及ぼすと考えられている社会問題です。
その本来の意味は、1947~1949年の間に生まれた「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になることで生じる、「社会保障費の増加」や「生産年齢人口の減少」といった諸問題を指します。
2000年時点では900万人に過ぎなかった後期高齢者の数が2025年には約2,200万人まで増加すると考えると、いかに大きなインパクトがあるか容易に想像できるかと思います。