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進むか、退くか?「アフターコロナ」における「民泊投資」の現在地
更新日 2024年4月11日
先行きの見えなかったコロナ禍がようやく出口を見せ、インバウンドが数年ぶりの活況を見せ始めている今、再び活気を取り戻しつつあるのが民泊です。
一般人がアパートやマンション、戸建てを宿泊施設として貸し出すこの業態は旅行者にとってホテルに代わる宿泊の選択肢になるばかりでなく、投資先としても大きな魅力を持っています。
とは言うものの、まだまだ予断を許さない新型コロナウイルスの見通しや関連法の施行など、不安な部分も多いはず。そこで、この記事では民泊投資の現在地と今後の見通しについて考察します。
コロナ前に民泊ブームが起きた背景
2010年代後半にかけて一大ブームをとなった「民泊」。その背景にあったのは、外国人旅行者の爆発的な増加です。
2009年時点では年間約680万人にすぎなかった訪日外国人数は、2019年には史上最多の約3,190万人まで増加。大量に発生した宿泊ニーズを既存のホテルや旅館だけではまかないきれない状況に。折しもそんなタイミングで普及したのが、「部屋を借りたい人」と「部屋を貸したい人」が手軽にマッチングできる「Airbnb(エアビーアンドビー)」をはじめとした民泊仲介Webサービスです。簡易な宿泊設備とスマートフォンさえあれば誰もが宿泊業に参加できるこのプラットフォームの登場により、民泊は一気に普及していきました。
コロナ禍による大打撃と相次ぐ撤退を経て
2018年10月時点で約1万件だった民泊施設は、2019年末には約2万件まで急増。多くの人が有力な副業や投資先として興味を持ち始めた民泊ですが、2020年に突如として世界全体を襲ったコロナ禍によりその数は徐々に減少していきました。(下記図参照)
廃業理由の大半を占めたものは、「収益が見込めない」というもの。各国で不要不急の外出が制限され、旅行どころか日本への入国さえできない状況において、民泊ブームは瞬く間に勢いを失っていったのです。
そして現在。アフターコロナ、民泊はどうなる?
2020年4月の緊急事態宣言から約3年の時を経て、ようやくコロナ禍に収束の気配が見えてきた2023年。
訪日外国人数は約2,100万人(予測)まで回復し、街にも外国人旅行者の姿を頻繁にみかけるようになってきました。
この復調を受けて、一度は忘れ去られていた民泊も徐々に復活。とある民間企業の調査によると、2023年10月における民泊施設数は前年同月よりも800件以上増加。また売上についても、前年同月比234%増と復活の様相を呈しています。
民泊をめぐるこの状況は今後どのようになっていくのか、3つのポイントで考察します。
インバウンド(訪日外国人旅行者)の復活日本全体の少子高齢化、人口減少という現状を踏まえれば、今後も民泊需要の中心となるのは訪日外国人旅行者であると考えるのが自然です。
前述したとおり、2023年の訪日外国人数は約2,100万人。これはコロナ禍前の史上最多を記録した2019年の66%にあたり、この状況がつづくようであれば2024年以降もさらに回復していくことが予想されます。
① 観光地で働く、ワーケーションの普及
私たちの生活にさまざまな変容をもたらしたコロナ禍ですが、中でも民泊需要に影響及ぼしたのが「ワーケーション」です。
ワーケーションとは、観光地に滞在しながら働くという、リモートワークが普及したコロナ禍において生まれた新しい働き方のこと。
コロナ後に、2000人のフルタイム勤務者に向けて、実施したアンケートによると、1位 北海道、2位 沖縄県、3位 東京都.ついで神奈川県や京都府が人気のワーケーションエリアであることがわかりました。(下図を参照)
ワーケーションとして活用するユーザーにとって、滞在先としてホテルよりも安価な民泊は、有力な選択肢になりえるポテンシャルを秘めています。
これら動向を参考に自分に合った土地やビジネススタイルで民泊経営をスタートするのもおすすめです。
② 2025開催予定の大阪万博による需要増も民泊経営の追い風に
大阪万博は、予想される経済効果が約2兆円に達し、特に観光分野での外国人旅行者の増加が見込まれることから、大阪を中心とした関西エリアの民泊投資家にとっては大きな追い風になると言えます。万博の準備や着工の遅れによる開催の不安はありますが、予定通りに進めば、関西エリアにとって大きな盛り上がりをもたらすことでしょう。
大阪・関西万博は、観光、教育、文化、スポーツ、ビジネス、学術など、多岐にわたる分野での交流の場として期待されています。アジア太平洋研究所(APIR)のレポートによると、このイベントは2兆3,759億円の経済効果をもたらす見込みで、さらに万博によって関西地域に新たな観光コンテンツやイベントが増えることで、追加で約4,000億円から5,000億円の経済効果が期待されています。
さらに、立正大学データサイエンス学部の大井教授の研究によると、万博を訪れる外国人観光客が大阪以外の地域へもたらす経済効果は約3600億円に上り、観光消費の経済効果は平均で1.3倍になると推計されています。
(大阪・関西万博に来場する訪日外国人による万博以外の観光行動における経済波及効果の計測結果(出所)株式会社JTB総合研究所 藤田・立正大学 大井、共同調査より)
特に京都府、奈良県、東京都が生産誘発額で上位にランクインし、これらの地域は主要な観光ルート上に位置するため、大きな恩恵を受けることが予想されます。各地域では、万博を契機とした外国人観光客の誘致や地域の魅力をアピールする取り組みが進められており、これによって地域経済に大きなプラス効果がもたらされ,それに伴い宿泊の需要も一層高まると考えられています。
③ ただし注意点も。民泊への新規参入を悩ます、「180日ルール」とは?
2018年に成立した民泊新法は、それまでグレーゾーンが多く、宿主と利用者間でのトラブルの絶えなかった民泊について細かなルールを定めた法律です。その主旨は「設備面で一定の条件をクリアすれば、自治体に届け出をすることで誰でも民泊事業を始められる」というもの。
ただし、この新法では民泊の営業日数の上限を年間180以内と定めており、1年の半分は休業しなければなりません。また、自治体によってはさらに厳しい条件を加えるケースもあり、結果として投資のうま味は減った感は否めません。
なお、大阪市や東京都大田区をはじめとする各自治体や政府が定めた「特区民泊」に限ってはこの新法は不適用。したがって、今後は「特区」か「それ以外か」で民泊投資のスタイルそのものが大きく変わってくるでしょう。
【まとめ】民泊投資は物件の見極めがますます重要に
未曽有のコロナ禍を経て、再び活況を呈しつつある民泊投資。2024年の訪日外国人客数は、コロナ禍前を上回る3,300万人にも上るとも見積もられており、民泊需要はさらに高まることが予想されます。
このように基本的に追い風ムードの民泊投資ですが、一方で注意しておかなければならないのが、厳しい「180日ルール」の設けられた民泊新法の存在です。
1年の半分が営業できないとなれば、どのような立地においても顧客単価を上げる工夫が必須となります。そのためには、物件選びの段階から需要を見極める厳しい目とリスクヘッジのための慎重なプランニングが必要になってくるでしょう。
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