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不動産担保の根抵当権とは?抵当権との違い、登録や抹消、注意点を解説

2022/01/26

更新日 2022年2月7日

土地や家屋を購入するため、個人が住宅ローンを組む場合、基本的に「抵当権」が設定されます。
この「抵当権」と似たワードに「根抵当権」というものがあります。
非常に紛らわしいのですが、それぞれ設定される状況や性格が異なります。
そこで今回は、根抵当権の仕組みを説明したうえで、さらに抵当権との違い、メリット・デメリット、根抵当権の設定や抹消の手続きを解説します。

この記事はこんな人にオススメ
  • 不動産投資に興味がある
  • 根抵当権とは?
  • 根抵当権と抵当権との違いは?

根抵当権の仕組みとは?

「抵当権」とは、住宅ローンを組むとき、購入する土地や建物に金融機関が設定する担保権です。

不動産で設定する抵当権とは?

「根抵当権」もまた金融機関が権利者となり、融資の際に不動産を担保として、万一の場合に不動産の売却資金で優先的に返済を受ける権利です。
その意味で、根抵当権も抵当権の一種だと言えます。

ただし、抵当権が1度の借り入れに対してローンを返済していくのに対し、根抵当権では設定された借り入れ限度額の範囲内であれば、債務者が何度も返済と借り入れを繰り返せるのです。
これを金融機関側から説明すると、債務者からの複数回の借り入れを担保するために限度額を定め、その範囲内で融資を行う権利だともいえるでしょう。

根抵当権の極度額とは?

金融機関は、根抵当権が設定された不動産の担保価値を算出し、貸し出せる上限額である「極度額」を定めます。
一般的に、この極度額は貸し出し予定額の120%程度に設定されることが多いようです。

抵当権と根抵当権の違いは?

「根抵当権」は「抵当権」の一種ですが、両者の間には大きく3つの違いがあります。
また、根抵当権が利用されるのは、主に企業間の取引ですが、事業者ではない個人が融資を受ける際にも利用されることがあります。

ではその違いと、個人での根抵当権の設定例をあげてみましょう。

何度でも借り入れが可能

「根抵当権」が「抵当権」と異なる第1のポイントは、担保される債権の明確さです。
抵当権は、それによって担保される債権の金額が、抵当権の設定時点で明確に定まっていて、債務者がいつまでにいくら返済すべきか、具体的に決まっています。

根抵当権の場合、対象となる債権は債務者と根抵当権者との間で範囲の設定が可能です。
また、元本の確定まで期日や額も決まっておらず、極度額内であれば何度でも借り入れができます。

元本確定まで移譲の許可が必要

第2のポイントは、抵当権の移譲について債務者から許可をもらう必要がないのに対し、根抵当権は、元本の確定までは債務者からの移譲の許可が必要です。
なぜなら、抵当権が返済の時期と金額が明確に定まっているのに対し、根抵当権では定まっていないからです。
そのため根抵当権においては「いつお金が返ってくるのか?」について、債権者は債務者と調整する必要があります。

連帯債務者をつけることができない

抵当権の場合は、金融機関が要・不要を判断し、連帯債務者をつけることが可能です。
これは支払いの時期・金額が明確であるからこそ、できること。

しかし、根抵当権は支払い時期も金額も決まっていないため、元本確定前に連帯債務者をつけることができません。
ただし、これはあくまで登記法上の話で、実体法上では複数の債務者に対して、借り入れた個々の債権・債務を連帯債務として考えることができるようです。

注文住宅を建てる

注文住宅を建てる際には、個人でも根抵当権を設定することがあります。
具体的に言うと、まず土地だけを購入し、そののち家屋を建てる場合、土地代の支払いと建物代の支払い、それぞれ資金を必要とする時期が数カ月もずれてしまいます。
また、建物代も着手金・中間金・残金と時期を分けて支払う場合もあるでしょう。

そうすると複数回に分けてローンを組むことになります。
であれば、融資のたびに抵当権を設定する必要のない根抵当権の方がよいと、金融機関が判断することがあります。

リバースモーゲージを利用する

所有するマンションや一戸建ての建物や土地を担保に、資金を調達する「リバースモーゲージ」という方法があります。

よくある例としては、シニア世代が自宅に住み続けながら、その土地と家屋を担保に資金を借り入れ、返済期日の到来や債務者が亡くなった後に担保物件を売却し、一括して元金返済を行うのです。
一般的に月々の返済は利息のみ。
借り入れた資金は、生活費や子息の教育費、車の購入、リフォーム代金など、自由に使えます。
根抵当権を使ってリバースモーゲージを行うと、極度額まで何度も借り入れができ、老後の生活資金に余裕が生まれます。

住宅ローンとカードローンを利用する

住宅ローンを組むときに、同時に金融機関のカードローンを作成する場合、根抵当権が設定されることがあります。
そうすることで、不動産担保ローンのように設定された極度額の範囲まで、カードローンが利用可能になります。
ただし、これは金融機関がその利用方法を認めた場合に限られます。

増減することも可能

根抵当権の極度額は、元本の確定前か後かに関わらず、利害関係者の承諾を得たうえであれば、変更することが可能です。
この場合の利害関係者とは、根抵当権者と根抵当権設定者はもちろん、その変更によって影響を受ける後順位担保権者も含まれます。
極度額の変更は、増額・減額のどちらも可能です。

根抵当権のメリット・デメリットとは?

抵当権と根抵当権には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
これから借り入れを考えている方は、双方のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、検討しましょう。

メリット
金銭的・時間的コストの圧縮

「抵当権」の場合、借り入れを何回も行おうとすると、その都度登記をしなければなりません。
その登記には、書類を作成する時間や税金、場合によっては司法書士への鑑定報酬がかかります。
しかし「根抵当権」の場合、借り入れのたびに登記を行う必要がなく、コストを大幅に削減可能です。
繰り返し借り入れをする場合は、根抵当権の方にメリットがあると言えるでしょう。

デメリット
融資先の変更が自由ではない

抵当権は融資先の変更が自由ですが、「根抵当権」は自由ではありません。
根抵当権を設定すると、債務者が不満を持って権利を移譲したいと考えても、債権者に許可をとらないと融資先を変更できないのです。
同時にその心理的な負担と、時間的なコストも考えないといけません。
しかし、抵当権であれば、債務者が不満を抱えて権利を移譲したいと考えれば、無許可で融資先を変えられます。

根抵当登記に必要なもの

「根抵当権」を設定するには、抵当権と同様に登記をしなければいけません。
根抵当権設定登記の手続きは次のような流れになります。
1. 登記簿の調査
2. 根抵当権設定登記の委任契約を司法書士と締結
3. 抵当権設定登記の準備をし、抵当権抹消をし、法務局に申請
4. 登記完了
根抵当権設定登記の申請には専門的な知識が必要となるため、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。
また、通常の申請は融資の実行日と同日に行われます。
そして、金融機関からの指示に従い、融資の実行日に間に合うように、以下の必要書類を用意する必要があります。

各種書類

根抵当権設定登記に必要となる代表的な書類は、次のとおりです。
・登記済権利証、もしくは登記識別情報
「登記済権利証」とは、所有権取得の登記が完了したときに法務局から発行される権利証のこと。
これは根抵当権の登記だけでなく、不動産売買の際にも必要です。

・根抵当権設定契約書
「根抵当権設定契約書」とは、金融機関と根抵当権の対象となる不動産の持ち主との間で締結した契約書のこと。

・不動産所有者の印鑑証明書
どんな不動産取引であっても、個人の実印は必要で、それを証明する印鑑証明が必須です。

・根抵当権者の資格証明書
・会社謄本(法人の場合のみ)
・根抵当権者の登記委任状(司法書士へ登記依頼をするため)

費用

費用に関しては、まず手続きを依頼する司法書士への報酬があります。
所有している不動産について根抵当権設定をするのであれば、3万円程度。
不動産を購入し、ローンがある場合は10万円程度(ローンがない場合は7万円程度)。
これら司法書士への報酬にプラスして、交通費などを請求される場合もあります。

次に、極度額×0.4%で計算される登録免許税がかかります。
計算式からもわかるとおり、極度額が高ければ高いほど登録免許税も高くなります。
抵当権と違い、根抵当権には登録免許税の軽減措置はありません。

根抵当権抹消の方法とは?

「根抵当権」が設定された不動産を売却した、もしくは相続する場合、根抵当権を抹消する必要があります。
ただし、根抵当権を抹消するには、債権者である金融機関と当事者の合意が必要となります。
その場合どのような手順を踏めばよいのか。
根抵当権の抹消の方法を紹介しましょう。

残債の確認

「根抵当権」を抹消するには、まず債務がどれだけ残っているのか確認が必要です。
それをわかったうえで、借り入れ先である金融機関と根抵当権抹消の交渉を行います。
債務者が個人で、残債の返済が可能だと判断されれば、根抵当権抹消で問題となることはあまりありません。

しかし、法人の事業者となると、金融機関にしてみれば、根抵当権を抹消することは貸し付ける顧客を失うことになるので、許可がなかなか降りず、交渉に時間がかかることがあります。

どちらにしても、金融機関が「完済は難しい」と判断するほど負債が残っていると、交渉成立は難しくなるでしょう。
不動産を売却しても、債務の返済が難しい場合は、別途資金を用意しなければなりませんし、それも難しい場合は、金融機関からの了承を得たうえで任意売却を検討することになります。

元本の確定

金融機関と根抵当権の抹消を行う合意ができたら、元本確定を行います。

元本確定とは、これまで行ってきた貸し借りを止め、その時点でいくら借り入れの残債があるのか、いつまでにそれを返済するのかを明確にすることです。

元本確定が済んで、残債の返済の見込みが立つと、根抵当権抹消の具体的な手続きに入ります。
この元本確定のタイミングで、根抵当権の有効期限(5年以内)をあらかじめ決めることができます。

必要書類の提出

残債を完済すると、根抵当権者である金融機関から「根抵当権解除証明書」などの書類が発行されます。
これを受け取り、抹消申請に必要な書類を作成し、法務局に登記申請を行います。
申請後、書類一式が返送されますので、この時点で抹消手続きが完了したことになります。
抹消手続きも専門的な知識や複雑な手続きが必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。

根抵当権が利用されるケース

先に、根抵当権が利用されるのは主に企業間の取引と説明しましたが、企業が金融機関から事業用の資金の融資を受ける場合は、根抵当権が設定することがほとんどです。

なぜなら、一般的に事業者による借入れでは、事業上の必要に応じ何度も返済と借り入れを繰り返すのが普通だからです。
また、企業が根抵当権を利用する場合、会社の法人や代表者個人が所有する不動産に根抵当権が設定されることになります。

まとめ|抵当権より複雑な根抵当権の仕組み

抵当権と根抵当権の違いや、そのメリット・デメリットについて説明しました。
個人で根抵当権を設定することは少ないですが、住宅ローンやリバースモーゲージを利用する際に、この抵当権と根抵当権の違いを知っていれば、相続や売却時の手続きで困惑することはないでしょう。
根抵当権は、抵当権よりも仕組みが複雑です。根抵当権を設定して融資を受けることに不安があるなら、司法書士や弁護士に相談するとよいでしょう。

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ZENGO CHENRIMAWARIBLOG編集責任者
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