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収益性を見極めるレントロール。見方やチェックポイントとは?
更新日 2022年4月18日
不動産投資で物件を購入する際、その物件がどのくらいの収益力を持っているのかは大変重要なポイントです。
もし業者の紹介でめぼしい物件を見つけた場合、その収益力を見極める必要があります。
その際に頼りになるのが「レントロール(rent-roll)」です。
物件の検討にあたっては、まずレントロールを取り寄せましょう。
今回は、物件の購入にあたって欠かせないレントロールとは何か、そして、レントロールで何をチェックすべきなのかをご紹介します。
- レントロールを見るときの重要ポイントが解ります
- レントロールについて一から説明
レントロールとは?
レントロールとは、日本語で言うならば家賃明細書のことを指します。不動産投資を考えたことのある方であれば一度はその名を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「レントロール」とは物件の収益力をはかるための資料で、入居者の状態や賃貸借契約の条件などが細かく書かれています。
部屋やテナントごとに、家賃や共益費、敷金、契約日、契約期間、賃借人の属性など、今現在どの部屋にいくらで賃借人が入居しているかが一目でわかるようになっています。
本来は、入居者・テナントの状況をチェックする場合、部屋ごとの賃貸借契約書で契約内容を細部まで読み込む必要があります。
しかし、全部に目を通すのは膨大な労力がかかりますし、そもそも検討の段階では物件の購入を考えている人に個々の契約書が開示されることはまれです。
そんなときに役立つのがレントロールなのです。
なぜレントロールが必要なのか?
物件の購入にあたっては、なんといっても物件の収益性の見極めが肝心です。
レントロールをしっかりと見極めることができれば、「物件の収益性は問題ないか」「どこかに問題はないか」など、物件の収益の安定性が確認できます。
レントロールの記載内容
レントロールの内容をきちんと理解するには、資料を読み込むための予備知識が欠かせません。
知識がないまま漠然とレントロールを見ていても、必要な情報をピックアップすることができないからです。
ただし、レントロールの作成は法律で義務化されているわけではなく、決まった形式もありません。
記載されている項目もさまざまです。
以下では、レントロールの多くで記載されている項目で、中でも重要とされる項目について説明していきます。
レントロールを前にしたら最低限確認してほしい項目であり、もし記載がなかったり、不明であったりしたら、業者や売主に確認することをおすすめします。
部屋の号室や区画
各部屋には号室名、オフィスや店舗などは区画名が掲載されています。
レントロールを確認する際には必ずチェックしましょう。
なぜなら、各フロアの1番大きな号室と部屋の数が必ずしも一致するとは限らないからです。
物件によっては、ゲン担ぎで4のつく号室を避けていることがあるからです。単純に階数×各フロアの1番大きい号室の数字で部屋数を計算してしまうと、実際の総部屋数とズレが生じることがあるので注意が必要です。
面積・間取り
各部屋の面積(賃貸借の契約面積)が記載されています。
原則は、部屋の中(専有部分)の面積が書かれていますが、オフィスビルや店舗で1フロアまとめて契約されている場合、トイレや給湯室、廊下などを含む面積(グロス面積)で記載されていることもあります。
1フロア1テナントの物件は、正確な数字を把握するために業者・売主に確認が必要です。
間取りは、1Rや1K、1LDK、2LDKなどの記号で記載されています。
どの間取りが投資物件に向いているかは、その物件が所在するエリアの賃貸需要に合っているかどうかをチェックしましょう。
ファミリー向けの物件が多いエリアなのか、単身者向けの物件が多いエリアなのかなどを、賃貸ポータルサイトで調べたり、仲介業者にヒアリングをしたりして傾向をつかみます。
一般に、単身者向け(1R、1Kなど)物件は、入居期間が短い(入居者の入れ替わりが多い)が、需要が多いため空き室になる期間が短くて済む場合が多いです。
一方、ファミリー向け(1R、1K以外)は、入居期間が長い(入居者の入れ替わりが少ない)傾向にありますが、空き室になる期間が長くなることも多いようです。
空き室期間が長ければ、収益に影響しますし、退去時の部屋のクリーニング等の費用発生の頻度などが異なることになるので、念頭に置いておきましょう。
用途
物件には、「住居」のほか「事務所」「店舗」などの用途があります。
レントロールでは、物件がどんな用途で使われているか確認しましょう。
なお、法令により物件の用途には制限がかけられています。
そのため、物件の所有者になったとしても、記載以外の用途での使用を検討しても実現できないケースも。
仮に、「リフォームしてレストランを募集するといいかもしれない」と思っても、無理な場合もあるので、要チェック項目です。
契約状況や属性
「契約状況」は、現在の賃貸借に関する状況の記載で、「現況」と書かれている場合もあります。
「入居中」なのか「空室」なのか、「入居予定」「退去予定」の月日などです。
空室が目立つ(入居率が低い)場合は、仮に物件を所有しても思うような賃料収入が得られません。
入居需要のある物件なのかどうか、競合物件の状況を調べたり、仲介業者にヒアリングしたりする必要があります。
「属性」は「入居者」と書かれている場合もあります。入居者名まで書かれていることはなく、「個人」か「法人」かで記載されいる場合がほとんどです。
賃料
入居者やテナントから入る「賃料」のことです。
用途が事務所や店舗の場合は、坪単価が併記されている場合もあります。
中には、現況では空室なのに、賃料が書かれている場合もあります。
これは、貸したらこれくらいの賃料なるだろうと想定した賃料を記載しているものです。
敷金・保証金
「資金」「保証金」は、入所者やテナントから物件のオーナーが預かっている預り金のことです。
オーナーは、賃料の支払いが滞納した場合の補填や解約の際の原状復帰にかかる費用に充てることができます。
ただし、問題なく賃貸借契約が終了した場合は、入居やテナントへの返還義務が生じます。
契約開始日・更新日
現在の入居者が住み始める、あるいはテナントが使い始めるにあたっての契約の締結日です。
賃貸借契約は、2年など一定の期間ごとに更新となるのが一般的で、その更新日があわせて記載されている場合もあります。
レントロールでチェックすべき項目
次は、レントロールのどのような項目に、物件購入の可否にかかわる情報が現れるのかを見ていきます。
購入を検討している物件を買うべきなのか、見送るべきなのかを判断するための材料をご紹介します。
チェック1
近隣の家賃と比較
物件購入にあたっての論点は、「本当にこの家賃で入居者が集まるか?」です。
その際の第1のチェックポイントは、近隣物件の家賃との比較です。
間取り、築年数、駅からの距離などが同じような物件と比較した場合に、想定家賃が高い場合は、物件が満室になった場合の利回りをよく見せるためにコントロールしている可能性があります。
賃貸物件の検索サイトを調べたり、近隣の不動産仲介業者にヒアリングしたりして、適正な家賃の相場を確認しましょう。
チェック2
家賃のバランス
レントロールを見ると同じ物件内で、間取り・広さが同じであっても家賃にバラつきが見られることがあります。
その1番の要因は、入居した年月日の違いです。
一般に、新築当初から入居している人の家賃は高く、築年数が経ち、物件が古くなってから入居した人の家賃が低い傾向にあります。
これは、築年数の経過とともに部屋の価値が下がり、それが賃料に反映され、安くなっているからです。
この場合、長期にわたり入居していて家賃の高い入居者が退去すると、次の入居者の募集では直近の入居者と同等の家賃まで下げる必要があります。
物件の収益性を考える際は、全室が現在の募集家賃になった場合に賃料収入がどうなるのかシミュレーションすることをおすすめします。
チェック3
預り敷金の有無
入居者・テナントから契約時に敷金を預かるのが一般的ですが、なかには敷金を預かっていない場合もあります。
これは、敷金を無料にしないと入居者の獲得が難しい物件であるともいえます。
また、敷金(保証金)は、前オーナーからそのお金が引き継がれるものですが、敷金(保証金)を前オーナーからもらえる場合のほか、物件の売買代金に敷金(保証金)が含まれるとみなす場合もあります。
後者は、物件購入後に賃貸借契約の終了が発生した場合、自分の資金で敷金(保証金)を返還することになります。
このような物件では、物件購入価格にその分のお金をオンしたうえで、収益性を考える必要があります。
チェック4
入居日のバランス
3月や4月など引っ越しシーズンは入居者の入れ替わりが多いものです。
ところが、こうしたシーズンを外して、しかも直近の数ヶ月の入居が不自然に多いといった入居日の偏りは、入居率の偽装が行われている可能性が否定できません。
これは、物件を高く売却するために業者・売主が周辺相場よりも高めの家賃で知り合いを入居させる手法です。
賃料収入を意図的に上げ、満室物件として売却するわけです。
取引現場で稀に見られることがあり、注意が必要です。
さらに、入居率を偽装するために入居した人たちは、物件の売買が成立してしまえば一斉に退去するでしょう。
結果的に空き室が増えたことにより毎月の現金収入が減り、物件の価格自体も購入の初期段階で大きく下がってしまいます。
チェック5
入居者の属性
入居者の属性がどこまで詳しく記載されているかは、レントロールによってまちまちです。
しかし、同一法人による一括借り上げがされていないかどうかはぜひチェックすべきポイントです。
こうした物件は、空室が一気に発生し、家賃収入が激減するリスクを抱えています。
レントロールに入居者の勤務先などの属性が記載されていない場合は、確認が必須といえるでしょう。
一方で、売主が同族者に安く物件を貸している場合もあります。
周辺の相場に比べ極端に安く貸しているようであれば、物件の取得と同時に家賃を上げることができるかもしれません。
チェック6
光熱費の負担状況
共用スペースの光熱費はオーナーの負担となりますが、各部屋の光熱費は家賃や共益費に含まれていない場合と含まれている場合があります。
一般的に、各部屋の光熱費は、入居者が直接電力会社やガス会社、水道局へ料金を支払います。
しかし、一部の物件ではオーナーが家賃に含めて一括徴収し、まとめて支払っています。
この場合、レントロールの上では、光熱費の徴収分も賃料収入扱いで記載されている可能性があります。
この金額分は、賃料収入から差し引いて収益を考えましょう。
チェック7
入居率の状況
入居率が7割を下回っていると、基本的には空室が多い物件といえます。
このような場合は、入居率が低くなっている原因を探り、物件購入後に入居率を高めることができるどうか検討します。
例えば、現オーナーが原状回復をするための資金的な余裕がなく新規の入居者募集ができないような場合。
自分に資金の余裕があれば、物件の購入後に工事を行うことができるので、購入しても問題ないと判断できます。
また、管理会社の能力不足で入居率が低下しているようであれば、管理会社を変更することで好転する場合も考えられます。
ただし、自分の力では改善し難い場合もあります。
・人気のない地域で、エリア全体の入居率が低い。
・物件で殺人事件などが起きたことがある
・迷惑住人がいて他の居住者が早々に退去してしまう
といった例です。
入居率が低い場合は、原因を特定し、自分で解決可能なのかどうかを見極めることも大切です。
チェック8
副収入の有無
物件によっては、携帯基地局や電柱、自動販売機、看板広告などによる副収入が見込まれることがありますが、これらはレントロールに記載されていない場合が多いようです。
一見、副収入はうれしい情報ですが、副収入を得ることにより、どうにか合格ラインの収益を確保している場合もあります。
仮に、携帯基地局がある場合、携帯会社との契約が切れれば収入を失い、収益が悪化します。契約期間などをしっかり確認する必要があります。
また、自動販売機であれば、毎月の売上がどのくらいになっているか確認を。
場合によっては電気代で売上が相殺され、実は赤字だったということもありえます。
レントロールに記載されない支出
レントロールには決まった形式がないため、掲載されていない項目も出てきます。
レントロールに記載されていない項目にも、収益を左右する支出項目、いわば隠れた支出が存在する可能性があります。
レントロールへの記載を落とされがちな支出の代表的な例をご紹介します。
チェック1
外部駐車場
エリアによっては普段の足として自動車が必要で、駐車場が必須の物件もあります。
物件の敷地内に十分な数の駐車スペースがない場合、現在のオーナーが近くの駐車場を借りて入居者に貸していることもあります。
借りているスペースが大きく、費用がかさむと、物件の収益に大きな影響を及ぼします。
外部駐車場の契約を承継するかどうか判断をしなければなりません。もし記載がなければ、売主に確認しましょう。
チェック2
ケーブルテレビ・インターネット
インフラ設備代としてケーブルテレビやインターネットの料金があります。
地域によってはケーブルテレビに加入しないと地上波テレビが視聴できないエリアも。
その場合、解約することは実質的に困難なので、費用がオーナー負担なのか入居者負担なのか確認しましょう。
インターネット無料使い放題としている物件も見かけますが、家賃に込みでインターネットを提供している場合もあります。
すでに設備を導入しているものを廃止すると、入居者の満足度は下がってしまうことも。
安易に廃止するのでなく、インターネットプロバイダに家賃収入から支払う金額を確認し、収益に問題がないか検討しましょう。
チェック3
清掃費用
エントランスやゴミ置き場など、物件全体の共用部分の清掃費用です。
一般に、共益費として徴収したお金を当てますが、共益費をとらずに賃料に含めている物件もあります。
家賃収入から支払う金額を確認し、収益に問題がないか検討します。
なお、賃料を安く設定するために、あえて共益費を高くしている物件もあります。
この場合は、賃料と共益費を合計して判断します。
チェック4
滞納
賃料の滞納はオーナーにとって大きなリスクです。
レントロールに入居の記載があっても、入居者が賃料を滞納していては収入が滞ります。
そのため、現入居者の滞納の有無を確認することは必須です。
敷金は、滞納賃料の補填の意味合いもありますが、滞納が継続した場合には対応ができません。
入居者の家賃を保証する保証会社に入っている場合は、保証会社が家賃を立て替えますが、保証会社に入っていない入居者がいることもありえるので、滞納の有無の確認は必ずチェックすべき要件です。
まとめ|リスクを判断できるレントロールはここを必ずチェックしよう
<重要チェックリストまとめ>
✅近隣物件の家賃設定や間取りと比べ、需要バランスの取れているか見極める。
✅入居率が7割を下回る場合には、その原因を特定するため担当不動産業者に説明を求めること。思いもよらない問題が存在する可能性も。
✅入居者の入れ替わりが激しい場合は慎重に原因を調べる事。
✅同一法人での借り上げがある場合、借主の勤め先情報等が不明確な場合には一定のリスクがあることを念頭に置くこと。
✅副収入や契約中のサービスがある場合は契約期間の確認も忘れずに行うこと。
✅「預かり敷金」の状況と「滞納有無」をしっかり確認する。
資料1つで賃貸借契約や入居者・テナントの状況などが把握できるレントロール。
不動産投資に際しては物件の良し悪しを判断するために、大変重要な資料です。
ただし、レントロールはあくまで任意で作成するものです。
そのため、中には改ざんした家賃を掲載したり、誤った情報や売主にとって不利な情報が記載されていなかったりする偽レントロールが出回っていることを胸に留めておいてください。
偽レントロールに騙されて収益力に難のある物件を購入しないためにも、レントロールを確認する際の見方・ポイントを十分に理解し、真偽を見抜く目を養いたいものです。
不動産投資を始めるにあたっては「不動産クラウドファンディング」という新たな選択肢も登場しています。プロが厳選した物件へ小口投資を行いながら優良物件を見極める感性を身に着けていくのもよいかもしれませんね。
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